先日のフィインの「Redd」に引き続き、1年近くが経ち今更なのですが、MAMAMOOの黄金マンネ、ファサの「Maria」のMVについて考察したことを書きます。
目次
#我々はファサの死を認めない
（物騒な見出しですみません）
まず、冒頭00:10のところ。
初めにファサの遺体(!?)を警察が取り囲む何とも衝撃的なシーンから始まります。事故なのか。他殺なのか。それとも...死因はわかりません。
この楽曲がリリースされた頃、Twitterで
「お葬式のシーンで、横たわっているファサの周りの椅子が、全部背中を向けているのよね」
「そうなんですよー気づいてました？」
というやり取りを見かけたんですが、私…
気づかなかった。
横たわっているファサが美しすぎて、他に目がいかなかった…
そう、確かに背を向けているんですよ。これは見出しにも書いたMOOMOO達の「ファサが死んだなんて認めない！」という意思表示を表してるんじゃないかと。
さらに、00:20。ファサの指に挟んだ煙草に火をつけようと、周りから次々とライターを持った手が出てきます。これは海外のサイトで書かれてたんですが、イタリア映画「マレーナ」で、町一番の美女で未亡人となったマレーナの煙草に男たちが我先にと火を差し、アプローチを試みる有名なシーンのオマージュのようです。
そしてMVでの
ファサが煙草を持ったままこちらへゆっくりと視線を向けるシーン…
もはや女優。
背を向ける椅子、沢山の差し伸べてくる手、そしてこちらへ向ける視線。これらを通してファサは「わかる？私にはこんなに味方がいるのよ」とメッセージを送っているかの様です。
釘のふたつの意味
もう一つが、2:25に登場する多くの釘が絡まっている王冠。冒頭でもちらっと出てきますね。
釘というのは家具から建造物まで私たちの身近な存在かつキリストが十字架に磔にされた時に使われたように、長い歴史も持っています。
ファサの前回のソロ曲「TWIT」でも王冠が登場しますが（下の画像参照）、今回のものはかなり痛々しい。この王冠を頭に乗せることによって「名声を得るには痛みも伴う、それでも私は受けて立つ」という覚悟を表してるように感じます。
この釘、「反骨精神」という別の意味も持っています。
1970年代、カルティエが「Juste un Clou」という釘を模したアクセサリーを発表しました。このアクセサリー、反戦活動を行なっていたヒッピーの精神からインスパイアされたという説があります。価格は13万円ほど。(興味のある方、お一つどうぞ)
CRB4225800 - ジュスト アン クル リング SM - ピンクゴールド - Cartier
「反骨精神」で思い出されるのはやはり、彼女があるイベントで語っていた「私が新しい美の基準になると決めた」という言葉でしょう。
「あなたは歌はうまいけど太っていて美人でもない」とインストラクターに言われ、家に帰って泣きに泣いたファサ。そしてそれをきっかけに自分に誓ったというこの言葉。下の映像ではファンにその当時のことを語り「あのクソ野郎！」と吐き捨てて笑いを取ってますが、もうこの部分も含めてムムもムムでなくても語り継ぐべき。
その後の彼女の活躍はK-POPファンであれば皆さんご存じの通り。
「ガールズグループ個人ブランド評判ランキング」で何度も１位を獲得しています。
私にとっても(一回り以上年下ですが)、女性としてとても尊敬するアーティストの一人。VOGUEなどのハイブランドに身を包んだファサのグラビアに何度見とれてしまったことか。
この「Maria」、歌詞のクライマックスは個人的にはここです。
わざわざ泣く姿が見たいなら
ほら 涙よ
かぁ～っ、こんな捨て台詞な歌詞、ファサしか歌えんだろ。かっこよ杉。
しかしMVの中盤で誹謗中傷に見立てた(と思われる)、多くの先の尖った鉛筆たちに怯える姿もあるように、彼女がいつも"強くてかっこいいファサ"ではなく、アン・へジンという一人の女性であることも伝わってきます。
最後に画面が明るくなり、ファサの部屋にソラ、ムンビョル、フィインがプレゼントを持って入ってきます。”ファサの煙草に火を差し出す手”には彼女たちも含まれているだろうし、もちろんファサが彼女たちに火を差し出す時もあるでしょう。
類稀なるカリスマ性を持ったMAMAMOOの黄金マンネ。
彼女の伝説は、まだ始まったばかり。
