Rap Việt Mùa 3 (シーズン3) を全話見たので備忘録 ※ネタバレ有り

 

昨年(2023年)の5月から放送されていたRap Việt mùa(season) 3 を最近Youtube(の英語字幕)で見て面白かったので興味を持ったラッパーなどを備忘録として残します。

(※HIPHOPはまだまだ勉強中なのでほぼフィーリングで書いていることをご了承ください)

Rap Việt Mùa 3 (2023) - Tập 3 ‑「EP」by RAP VIỆT | Spotify

ベトナムHIPHOP

東南アジアでもHIPHOPは激アツの模様ですが、クローズアップされるのはだいたいタイとフィリピン。でもベトナムでもヒップホップは今やメインストリームに位置しているようです。

ベトナムの年間最大の行事はテト(旧正月)で、欧米で「クリスマスソング」が出るようにベトナムでは「テトソング」がリリースされたりしますが、今や「テトの祝祭をライムする」時代になりました。

 

Rap Việt Mùa 3 で気になったラッパーをピックアップ

の、前に!Suboiさんのファッション

Suboiさんは「ベトナムフィメールラッパーの第一人者」としてリスペクトされている人物です。宇多田ヒカルとの「Too Proud」という曲で知っている方も多いかもしれませんね。
同番組のSeason1と2ではコーチ役でしたが、本シーズンではジャッジ役となりました(たぶん”格上げ”と思われ)

で、サバ番の審査員のファッションてあまり記憶に残らないんですが、1st Roundの時のSuboiさんのお召し物が麗しかったので一言。

ガウンを羽織って座ればQueen、ガウンを取って立てば超ヒップ。
玉座のようなソファと彼女のカリスマ性も相まってまさにパーフェクトでした。

 

 

"今のベトナムの多様性"が垣間見える2人

では、本題の出場ラッパーの紹介に入ります。

Pháp Kiều

元々このサバ番を見るきっかけになったラッパー。We Choice Awardsというベトナム最大の祭典でDivaな出で立ちでラップを披露していた姿が非常にFabulousでした。

彼(彼女?)はLGBTQ+をカミングアウトしたTickTockerとして既にブレイクしており、陽キャでタレント性も◎。プラスラップスキルの高さも相まって1st Roundでのコーチ陣の評価もオール・キルし、その中の一人Andree Right handは「お前をベトナムのLil N◯s Xにしてやる!」と自分のチームに誘っていました。
他のコーチも「君の様な友人はいるが、ラッパー仲間ではいない。君が第一人者になれ!」と期待を口にしていました。

Double2T

ベトナムの興味深いことの一つが、日本と違い「ベトナムに住むベトナム人だからと言ってベトナム語を話すわけではない」ということ。この国ではターイ語というタイ系の言葉を話す山岳地帯があり、Double2Tはそこの出身。インターネット環境のある高校に進学するまで、外の世界を一番知れる媒体が家にある白黒テレビだった、という今活躍しているラッパーの中でも珍しい環境で育ちました。メディアを通してヒップホップやK-POPに憧れを抱く様になり、自分もラップするようになったそうです。

ベトナム語は理解できるとはいえネイティブではないため、ジャッジやコーチ陣からは「次のラウンドに進んでもコーチの指導や他のメンバーについていけるか」と評価ボタンを押すことに躊躇することもあったそう。

ところがどっこい、そんな心配をよそに彼はなんと

Double2T và chiến thắng tại Rap Việt mùa 3: “Giấc mơ này con không muốn  tỉnh" | VTV.VN

このシーズンで優勝を果たしました。

ジャンルとしてはベトナムでは結構メジャーなジャンルであろう郷愁を誘うようなメロディー(私は勝手に"ノスタルジー・ラップ"と呼んでいる)を得意としています。番組でも他のラッパーがいろんなジャンルに挑戦してる中、彼はほぼ一貫していました。

国内最大のZing mp3の「2023年のアーティストベスト10」にも選出され、まさに今「ベトナム・ドリームまっしぐら!」です。

ベトナムで昨年(2023年)大ヒットした「 À Lôi」のタイトルもまたターイ語。
V-POPのMVもクオリティ高いものが多いのですが、こちらは「地元の人総動員」感があって逆に面白いです

ベトナムHIPHOP界の新世代カップ

Liu Grace

矯正している歯をニカっと見せて笑う姿がとても可愛かった。1st Roundでは彼女のキャラにあったPOPなメロディでラップを披露していましたが、2nd, 3rdと進むにつれいろんな表情を見せていました。

Suboiさんや同サバ番出身者で今大人気のTlinhちゃんとはまた違う魅力の持ち主で、今後の活躍に期待したいです。

Minh Lai

MinhLaiはLiu Graceの彼氏。日本のK6YとタイのMILES WORDとコラボした経歴があります。

K6Y x MILES WORD x MINH LAI - Keep Burning (Official Lyric Video) - YouTube

でも”彼氏"として覚えていたわけではなく、印象を残したのが1st Roundのパフォーマンス。

一見ドリルのようにも聴こえるラップに、ベトナムのトップアイドルAmeeちゃんのヒット曲「yêu thì yêu không yêu thì yêu (love then love if not love then love)」の一部を引用。ダークなサウンドに可愛いポップソングを取り入れるというひねり技で会場を沸かせ、彼女と共に1st Roundをと突破しました。

原曲と比べると雰囲気が全然違って面白いです↓

2人は何度か仲睦まじい姿を見せていました。
上の画像はLiuGraceの最終ラウンド突破が決まった時。
奇しくも同じグループに当たってしまい、敗退が決定したMinhLai。
この後彼女に労いの言葉をかけていたようです。

Almost Famousなラッパーたち

Rap Việt の出場者は「地方では結構有名っス」というラッパーがばかりかと思いきゃ
既に全国的に名が知られてるであろう人も多く

例えば

Yuno Bigboi

彼はRap Việt Season1の出場者であり、その後ブレイクして同番組のジャッジの一人、JustaTeeさんと人気歌手のMinちゃんとコラボも果たしています。

ファニーボーイキャラの彼ですが、Round3ではミュージカルをベースにしたシリアスかつパワフルなパフォーマンスで、終わった後は感極まってジャッジ(の1人のKarikさんはSeason1でYunoさんのコーチ役を務めていた)も自分も涙を流していました。
誰よりも「あぁ、勝ちに行ってるな」というのがビリビリと伝わってきました。

SMO

ラッパー活動歴10年、コーチの1人B Rayとは友達、現在はアメリカで活動しているという対戦相手なら怯んでしまいそうな経歴の持ち主。

これまでリリースしている楽曲はダークなものが中心ですが、Rap Việtではメロディアスなものも披露できることをアピールしてました。

↑ 歌ってる本人はもちろん、オーディエンスもみんなノリノリで、個人的に同番組の中でも特に好きな一曲「Né」。対戦相手のRiche D. Icyとの相性も抜群でした。

韓国語では「ネ」というのは「はい(Yes)」の意味ですが、ベトナム語では拒否する意味になります。かといってあからさまな「No」ではなく「かわす、避ける」意味を指すので、歌詞としては

Thích là tới chứ không né né né né
(よかったら来てよ、避けないで、避けちゃって、避けちゃって)
Anh em chơi sao cool đừng để né né né

(なんてクールに遊んでるの、俺を避けないで)
Drama thị phi cần phải né né né né

(物議を醸すドラマは避けて、避けて、避けちゃって)
Mấy cái người mà ba hoa ôi ta né né né

(自慢する奴ら、ああ、俺なら避けるね)

みたいな感じ。

Rhyder

私のHoang Thui Linhちゃんの次にお気に入りの歌手、Phương Mỹ Chiが全国的に知名度を上げた番組に「The Voice Kids」があります。

優勝候補と言われていたChiちゃんを抑えて「The Voice Kids」の栄冠を手にしたのがグエン・クアン・アインという少年。

民謡歌手からポップ路線へすそ野を広げたChiちゃん同様、彼も自分にフィットする音楽を模索し、今回の番組でRhyderというラッパー名で出場しました。

iKONのBOBBYの様な、エモラップを引き立る少しかすれた歌声が持ち味。
(ちなみにRound3以降染めた赤い髪は、BIGBANGのG-Dragonを意識してるとか)

最後のラップからのドラム叩きは圧巻でした。

UMIE

偶然SoundCloudで見つけて以来、よく聴いていた歌手だったのでラッパーとして出場していたのを見て驚きました。

Nếu Anh Muốn Đổi Vai - UMIE

結構あざと系キャラだった笑

隣に座っているのは、ボーイフレンド...ではなく、対戦相手のCaptain。
コーチ役のB Rayに「おまえら付き合ってんのか!?これからバトルやるんだぞ、わかってるのか!?」と突っ込まれてました

ラップ歴は他の出場者に比べて大分浅いのですが、負けず劣らずのスキルを持っていました。生まれながらのセンスがあるのかもしれません。
そのCaptainとの曲はアジアンポップスなメロディに乗せたものでこれも結構お気に入りです。

あと紹介しておきたいのは、この番組の準レギュラーだったシンガポール出身DJのWukong。

筋肉イケメンで、Pháp Kiềuも彼がお気に入りだったようです。

コーチBigDaddyとDuongKとの打ち合わせでの一幕。
P「ねぇ、あたしのこと好き?」
W「.....好きだよ」
P「違うわよ、あたしの曲が好きか聞いてんの!」
とからかっていました。

ポケモンが大好きで、常にブラックの上下のファッションに何かのキャラクターを腰に付けていました。

最終回ではコレクションがDJブースに勢ぞろい。
ぜひぜひ来シーズンもこの場所に立ってほしい。

他にも紹介したいラッパーやお気に入りの楽曲は沢山あるのですが、挙げればキリがないのでここで留めておきます。
Apple MusicやSpotifyでも「Rap Việt」で検索ヒットするので良かったら探してみてください。

 

先述したWe Choice Awardsでも「今年の番組」に選ばれたRap Việt。よっぽどのことがない限り来シーズンの開催は必至でしょう!

期待値ますます上げーーー⤴︎⤴︎⤴︎