チケットないままベトナムへ出国
前回(2)で「ベトナム国外の人間がHoàng Thùy Linhのコンサートチケットを購入できない」というお話をしましたが、諦めきれずにこのハンデを背負った(?)状態でホーチミンシティへ「遅れる・寒い・乗るな」で評判の某LCC直行便で行きました。
実は”初アジア海外旅行”がここホーチミンでして(初海外はベタに米国)、約15年ぶりの再訪です。
15年前の自分に「次にホーチミンに行くのは現地歌手のコンサート目当てよ!」と言ったらびっくりしただろうなぁ。
・・・で、チケットはゲット出来ました。
流れとしては
コンサートの話が出た直後くらいにFacebookの垢作ってLinhちゃんFCコミュニティに入会させてもらう
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D-Day間近でコミュニティ内に「チケット求/譲」コーナーが開設される
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ホーチミン到着後、出国直前から目を付けていた「友達同僚と3人で行く予定だったけどみんな忙しくて行けなくなったのでチケット余ってる」という女の子とMessengerで取引開始
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コンサート当日朝にご本人とチケットと現金の交換
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チケットゲット!
ホテルには昼過ぎに到着し、普通なら「早速外をぶらぶら~」になるんでしょうが、晩ご飯時までホテルの部屋(窓なしビジホクラス)でFacebook on スマホとにらめっこしてチケットのやり取りをしていました
(あと秋夕でもあったため、連絡待ってる間はインスタでKぽアイドルたちのインスタチェックも)。
これじゃ大阪の家にいる時と変わらんやないかw
でも交渉相手はとても親切な方で、ディスカウントプライスで譲っていただきました。本当に本当にありがとうございます!
「チケット求/譲」の話はSNSで出るであろうとはヲタクであるが故に予測していた(FBコミュニティ入会の理由の一つもコレ)ものの、ここまで上手くいくとは正直思っておらず
「コンサート参加がムリ確したら、その辺の現地在住日本人捉まえて愚痴を聞いてもらおう」という計画まで立てていました。
ベトナムのSNS事情については、TwitterよりもFacebookの方が断然メジャーです。
実名登録制に抵抗あるTwitter民なのですが、Facebookはプライベート丸出し(言い方)な分、取引は終始安心感がありました。しかも閉じられたファンコミュニティで出会った方との取引だったのでなおさら。
それから、コンサートのチケットもスタンディング以外は数日前に完売したとのこと。
よかった!
コンサート会場へ
会場はPhu Tho Stadiumという2003年の東南アジア大会のために作られた7~8000人収容できる巨大体育館。
午前中に一度チケットを入場用リストバンドとペンラに交換してもらいに訪れた時はまだ人はまばらだったのですが、
やはりコンサート直前になると人も多く、自分も周りのフェニックス(Linhちゃんのファン名)たちもテンションが違います。
Linhちゃんのペンライトとパチリ。中にいるのはもちろんフェニックス(不死鳥)。
看板の前で入れ替わり立ち替わりセルフィーを撮る何組ものフェニックス。その中でゲイカップルかな?というファンを結構見ました。
私自身、Facebookのコミュニティ上の「チケット求む」のコメントを見たであろう現地のフェニックス男子から
「チケットの件大丈夫そ!?もし難しそうだったらこっちでも当たってみるからね」
と気遣いのメッセージをもらったのですが
その彼のページを見ていると、どうやらLGBTQをカミングアウトしているようでした。
ひょっとするとこの辺の事情は日本よりも進んでいるのかもしれません。ベトナムってそういうイメージが無かったので良い意味で意外でした。
私はJKの頃のピチカートファイヴに始まり、カイリー・ミノーグ、現在のMAMAMOOに至るまで「たまたまハマった歌手のファンがLGBTQ率高め」だったことが多く、どうやらLinhちゃんも例に漏れずだったようで。
そしてコンサート!!!
40分遅れで始まりました(笑)
最近はK-POPアイドルやアーティストのコンサートばかり行っていて時刻通りに始まるのを当たり前に感じてましたが、そういえば欧米のアーティストとかなかなか出てこなかったり前座がやたら長かったりしますもんね...
開演時間が来てからMVが流れたり照明が一瞬変わったりしながらもなかなか始まらず
みんながしびれを切らしかけた時にステージ横のモニターに客席が映し出され、本国セレブが何人も映って歓声が上がっていました。
K-POPアイドルグループ Z-Boysの元メンバーのRoyくんも来ていたようです。
そしてついにコンサートスタート!
男女のバレエダンサー達が登場してゆったりとしたダンスを披露し、緊張感が高まります。
男性が女性をリフトして踊ったりとそこまでは普通なんですが、面白いのが男女関係なくピンクのレオタードにチュールスカートという出で立ち。
そこに奥からセットと共にHoàng Thùy Linh降臨!!!
テーラード風ジャケットに蝶ネクタイという全身ピンクだけどマスキュリンなスタイルで、ジェンダレスな世界観で会場全体を飲み込んでいきました。
(でもTwitterでホットパンツ、と言いましたが実際はミニスカートでした。)
後日コンサートに関する記事を読んだところ、「ジャケットに蝶ネクタイ」はLinhちゃん本人の提案だったそうです。
この後王朝時代の武将の格好をしたダンサーたちが出て来た時も、その役を男性だけに任せず女性も担っていたり "女子へのエンパワーメント"のメッセージも感じました。
衣裳一つとっても”味変”程度から、セットごとがらりと色やイメージを変えてくる時もあり
「一曲ごとに服変わってないか」と思うほどでした。
以下の記事でステージや衣裳がたくさん紹介されています。
楽曲は多くが今回のコンサートのためにリミックスされており、前奏始まった時はわからないんですが、Linhちゃんの歌い出しで「あ、あの歌だ!」とその都度興奮していました。
そしてその彼女の周りを照らす、我らフェニックス=不死鳥のペンライトの光。
ベトナム語わからないので歌えない(※)分、周囲のフェニックスたちと一緒に曲の合間のたびに「ホアン!トゥイ!リン!」と大声でエールを送ります。
(※日本では「コンサートで主役の歌手と一緒に歌うんかい(聴くに徹して)歌えへんのかい」という議論を時折耳にしますが、ベトナムの人は基本”ファンである証”としてみんな合唱します。)
バックダンサーを従えて歌うLinhちゃん。
キャットウォークしながら歌うLinhちゃん。
バラードをしっとり歌うLinhちゃん。
MCでフェニックスたちとコミュニケーションを取るLinhちゃん。
ベトナムのポップアイコンとしてパフォーマンスする彼女は
中秋節の月と同じくらい光っていました。
そしてコンサート終盤に「See Tinh」を歌いながら
オリジナルの振り付けで踊っている彼女を目にした瞬間
(TikTokでカバー動画で見られるダンスの振り付けはまた別物です)
「Hoàng Thùy Linhの世界観をこの目で見た」という達成感がこみ上げ
泣いた。
翌日ホーチミンを観光して帰国後、Facebookにスマホで撮った写真と一緒に「It was a great trip.」というコメントをアップすると、例のベトナム男子から
「Thank you for being a part of Vietnamese Concert.」とリプが。
コンサートに「行く」でも「参加する」でもなく
「being a part of = 一部になる」。素敵な言葉。
やっぱりコンサートって、いいもんですね。
めでたしめでたし。
いや、これで終わせねえぞ?
再演求む
ホテルへ帰る時のタクシーの中でも、大阪へ帰る時の機内でも、
思い出に浸りながら思いました。
あんなセットや
こんな衣裳たち
全部今日でお役御免なのか...
いやダメだろ。
ホアントゥイリンがまたすぐにコンサートをすべき3つの理由
1. せめてハノイでも開催すべき
東京、ソウル、台北、バンコク、マニラ、クアラルンプール...アジアでは中国除いて「政治も経済も首都一強」が定番なので「ベトナムの首都はホーチミン」と勘違いされている方もいるかもしれませんが
首都はハノイです。
人口はホーチミンよりもやや少なめですが、地下鉄が開通したのはこちらが先。
FBの書き込みにも「ハノイから行きます」「ハノイからHCM行きの◯◯の便で行くからフェニックスは声かけてね!」というコメントを結構見かけました。
ホーチミンの会場は7〜8000人規模だったけど、もしかしてハノイにはそれくらいの規模の会場がないのかー
あるんやんか。
なんと言ってもLinhちゃん自身もハノイ生まれで地元の芸大を卒業しています。
凱旋公演見たいなー。
(あとホーチミンは2回行ったけど、ハノイはまだ行ったことないし)
2. あのセットや衣裳を処分するのは、環境に良くない
今回のコンサートのセットとか衣裳とか、バックダンサーさんの人数考えてもスゴいんですよ。バレエダンサー、ヒップホップダンサー、キッズダンサー、楽団までいたし。
衣裳はベトナムでも気鋭のデザイナーさんを起用されているし。
あれを「1回やったらポイ」は環境によろしくない。
SDGsの世の中に倣って、あと数回は使うべき。
3. 何より私がまた見たいんだよ!!!
実は私...特に前半、舞台中央で歌ったり踊ったりしてたLinhちゃん
ほとんど見えておりません!!!泣
私、低身長で、オールスタンディングのライブとかなると本当に不利で
それでもベトナム人の平均身長って日本人よりも低いし、先日大阪城公園で開催されたベトナムフェスティバルのライブイベントでも結構見えたので「きっと大丈夫だろう」と思ってたんですが、現実はそうはいかず
舞台に向かって右側、通路のある方は比較的視界も良くてLinhちゃんもしっかり見えたんですが
(下の画像は実際に私が撮ったもの。それ以外は全部公式からの借りものです)
前方が予想外に”屈強な男"率が高くて...
しかもコンサートはスマホ撮影OKで、目の前の屈強な男子が屈強な腕を上げて撮ってるもんだから(普段眺めるにはいいんだが)視界遮られるのなんの。
途中、その男子のスマホ画面見てたくらい(そっちの方が映っているLinhちゃんが見えるので)。
コンサート終わってからFBで上がってた後方VIP席の方の写真を見ると、舞台全体が綺麗に見えていて正直羨ましかったです。
あちらの方がチケ代高かったのもなんか納得。
自分で選んだ席なんで、しょうがないんですけどね。
今回は近くで見たかったのと盛り上げ役に徹するために選びましたが、次は舞台全体が見たい。
あと、言っておきたいのがLinhちゃんの歌唱力について。
「歌が下手で途中で退席した」という野郎 観客がTikTokでコメントして炎上したそうですが、
私個人としては下手とか思わなかったです。
「すげぇ!上手ぇ!」ほどの衝撃はなかったですが
(何といってもわたくし、MAMAMOO聴いて耳が肥えておりますので)
ただ耳が肥えた私でも、Linhちゃんは裏声の使い方が上手く
(「Để Mị Nói Cho Mà Nghe」のヒットの要因も、楽曲と彼女の歌声の相性が良かったのがかなり大きかったと思う)、
実際聴いても音源通りに安定していて、とても優しい歌声でした。
大好きな「Em Đây Chẳng Phải Thúy Kiều」を生で聴けたのが本当にうれしかった。
Hoàng Thùy Linh - Em Đây Chẳng Phải Thúy Kiều (I Am Not Thuy Kieu) | Official Lyrics Video - YouTube
本気出したHoàng Thùy Linhのコンサートは本当に、豪華で美しくて素晴しいステージでした。
もう一回言います。再演求む。